運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業界で問題視されているドライバーの待機時間とは?

2019.07.08
分類:その他
トラックドライバーが長時間労働であることは、これまでも長きに渡り様々な場面で取り上げられてきた問題です。 長時間労働となる要因はいろいろありますが、中でも待機時間が関係する点はドライバーだけでは解決できない問題です。

待機時間は単なる時間のロスでしかない

荷物の積み下ろしの時にドライバーが待っている時間を待機時間といいますが、いくら時間を短縮しようと心掛けていたとしても必ず発生してしまう時間のロスです。 荷物の持ち主や送り主である荷主、または物流施設の都合などで、ドライバーが待機しなければならない時間が発生してしまうと、その間、ドライバー本来の物を運ぶという業務は停止してしまいます。

国もドライバーの労働環境改善についに動き出した?

国もドライバーの労働環境を改善するべきであると考え、2017年7月1日から「貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部を改正する省令」を施行し、運送会社には乗務記録の記載を義務付けています。 ここで対象となるのは、車両総重量8トン以上、または最大積載量5トン以上のトラックに乗務したドライバーで、荷主などの都合で30分以上待機時間が発生した場合には記載が必要となります。

待機時間は立派な労働時間と認識が必要

トラック運送会社の9割以上は中小企業であり、荷主より立場が弱く、指定された時間通りにトラックが到着しているのに積み下ろしに待ち時間が発生しても文句も言えないのが実情です。 さらに物流施設ではトラックが到着時、すでに他のトラックが列を作って待っている状態で、何時間も待たされてしまうことは珍しくないのです。 しかし、荷主側からは追加料金など一切支払われず、その結果、ドライバーの給料にも反映されません。その上、待機時間を休憩扱いにする運送会社などがあれば、サービス残業など違法な長時間労働の要因となるのです。 待機していても時間と場所を拘束している以上は労働時間であり、休憩ではありません。運送会社はドライバーに適切な残業代を支払う必要があると理解しておきましょう。

労働環境整備により人手不足解消にも繋がるはず!

今後、長時間労働を抑制することができれば、ドライバーの過労による問題などを防ぐことができます。 過労による心身への負担や、居眠り運転などで交通事故が起きるリスクなどを軽減できるでしょう。労働環境が改善されれば、若い働き手も見つかりやすくなり、人手不足も解消されるはずです。 過酷なスケジュールで居眠り運転やスピード違反など重大な交通事故を引き起こさないよう、運送業界に関係するそれぞれの事業者が労働時間の抑制に繋がる対策を検討して行く必要があるでしょう。