運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業者が認識しておきたいドライバーの労働時間や休憩時間の管理の重要性

2019.07.22
分類:その他
運送業で働くドライバーは、車を運転した業務がメインであるため、いつ休憩時間を取っているのか使用者が把握しにくいのが現状です。 休憩時間の管理が難しいということは、労働時間の管理も困難な状況となりやすく、様々なトラブルを引き起こす要因となる可能性があります。

ドライバーはいつ休憩をとっている?

ドライバーが何時から何時まで働き、その間いつ休憩時間を取っているのか、使用者は労働時間を適正に把握することが必要です。 しかし、実際にはデジタルタコグラフやGPSなどを使い、今どこに車がいるのか、その位置や状況は確認できたとしても、いつ休憩時間をとっているかまで正確には把握できません。 そのため、ドライバーに出社と退社の時間をタイムカードで記録してもらい、休憩として過ごした時間は日報などを付けてもらうという方法を用いていることがほとんどでしょう。ただ、本当にその休憩時間が正しい内容なのかまでは確認できないのが現状です。

荷待ち時間は休憩時間に含めてよい?

休憩時間をいつとっているのか、その問題を複雑化させている要因に「荷待ち時間」が挙げられます。いくらドライバーが時間どおりに集荷や配達を行おうとしても、この荷待ちによる待機時間が発生することで時間のズレが生じてしまうものです。 この待機中、ドライバーが私用電話をしていても、アプリでゲームをしていても、この荷待ち時間は労働時間に含まれます。しかし、外観上、遊んで待っているだから…と休憩時間に含めるようにしている事業所もあるのが実情です。 労働基準法において、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間は労働時間であると規定されていますので、待機により拘束されている以上は休憩時間の扱いにすれば違法となると理解しておきましょう。

その他、指揮命令下にあると考えられる時間にも注意を

他にも使用者の指揮命令下に置かれている時間として考えられるケースとして、例えば積荷を見張るためにトラックから離れることができない状況などが挙げられます。 また、食事など自由に行動することを認めてはいるものの、いつでも携帯電話には出ることができる状況にしておくように!といった指導を行っている場合など同様です。 労働時間と判断された場合、休憩時間を取得させていなかったとして、その時間分の残業代を労働者に支払わなければならなくなるので注意してください。

労働基準監督署に違法であると指摘されないために

労働している状況なのに休憩時間に含めてしまうと、労働者の安全と健康を守るための配慮にも欠けていると判断されることになります。さらに、一定の労働時間に対して与えなければならない休憩時間を与えていなかったとして労働基準監督署から違法であると指摘されることになるでしょう。 運送業は労働問題が発生しやすい業界なので、しっかりと労働時間や休憩時間の管理を行うことができる体制の構築を検討するようにしてください。