トラック運送事業者で着実に広がる運賃の値上げの動き
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トラック運送事業者では、運賃や料金を収受することにおいて適正化させる取り組みを強化しつつあります。特に大手や中堅に対してその波は強く、運賃の値上げは避けることができない状況です。
国内貨物輸送の約9割はトラック運送が担っていますが、規制が緩和されたことで荷主は選択肢を増やすことが可能となりました。
反対に運送事業者は荷量が少なくなってしまい、価格を交渉することもできず競争だけが激化する形となって労働環境を悪化させてしまったといえます。
この状況を改善させるためにも、運賃の値上げが必要と考えられている状況なのです。
運賃値上げに対する動きが広がっている理由
従来からトラック運送業界は人手不足の状況が続いていますが、長時間労働なのに低賃金という、ドライバーにとっては待遇が良好とはいえない状況がその背景にあるといわれています。
大手は自社だけでドライバーを確保するのではなく、繁忙期には外部のトラック運送事業者に委託するなど調整を行っていますが、人件費や外部委託にかかる費用が高くなることで業績にも影響しているようです。
このようなことから、長時間労働の改善や取引が適正に行われるような改善に乗り出すこととなり、関係官庁では取り組みを強化しているという流れです。
粘り強い交渉が続いている状況
ではどのようにして不足するドライバーを確保し、労働条件を改善していくのでしょう。その原資となるのは、適正な運賃や料金収受が行われることと考えられていますが、けして値上げではなく、値崩れした部分を値戻しているとの考えもあるようです。
大手企業を中心として荷主に対する適正運賃の要請が実施されるなど、積極的な動きが見られます。
中堅や中小事業者からも、原価計算による数値にあらわした資料を用いた交渉が行われ、運賃を値上げしてもらうように交渉が続いているとのことです。
例え値上げしてもらっても最低賃金に届いていない
積極的に運賃値上げの交渉を行い、例え応じてもらったとしてもその運賃は最低賃金にさえ届いていないのが現状です。
そのため、原価計算ももちろん必要ですが最低賃金さえ保証されていないという現実を荷主に理解してもらうことが必要となるでしょう、
ドライバーの労働条件を改善させようと運賃を改定するような取り組みを行い、もし無理な場合には撤退するしかないと覚悟を持って交渉に挑み、了承してもらっている事業所もあるようです。
あきらめず粘り強く続けることで、荷主から理解を得ているというケースもあるほど、運賃の値上げが行われる動きはだんだんと広がっているようです。