運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業界を悩ませる時間指定による作業効率の低下の問題

2019.11.14
分類:その他
運送業界でいまだに頭を悩ませているのが、配達の動線を崩す要因となる時間指定の問題です。 集配所からスタートし、効率的に最短で配達に回ることができるようにルートを組んでいても、この時間指定があることでせっかく設定したルートは崩れてしまいます。 時間指定があれば、時間より遅くても早すぎてもいけませんし、指定されている通りに配達しても不在であるケースもあるのです。その場合、一旦持ち帰って再度配達しなければならなくなりますが、全体の2割程度が不在であることが多いようです。 何度も配達先を行き来することになれば、運送距離が増えることになってしまいます。

指定された時間通りに届けることは当たり前?

国内宅配便事業の場合、配達の品質やサービス内容に要求される水準が高く、荷物が破損していたり紛失することがないことは前提条件となり、指定された時間通りに届けることも当然に求められます。 配達が遅れてしまうことが頻繁に発生すれば、社会的な信用も低下してしまうので注意が必要な部分です。

ドライバーの負担は重くなるばかり

荷物は増えているのに配達するドライバーの数が追いついていない状況が続いているので、まずは人手不足などを解消しなければ現在働いてるドライバーの負担は重くなるばかりです。 ドライバー1人が配達できるのは、1日100個程度の荷物が上限と考えられます。しかしその上限を大きく超えて、1日に120~130個、年末など繁忙期になれば200個という場合もあるなど、休憩時間が取りにくい状態の中、不在宅に再配達しなければならないなど負担は軽減されることはないようです。

今後どのように人手不足が改善されるかが鍵に

また、メール便なども未配達が発生するといった問題も以前はあり、その内容がダイレクトメールなどであれば受取側の顧客に対する悪影響はそれほど高くないにしても、依頼主は損失を被ることになります。 これもドライバー不足が招いた問題といえますが、遅配や未配達を防ぐためにもやはり人手不足を解消させることは必要不可欠であるといえるでしょう。 大手配送業者などが相乗りして共同で配送する取り組みなども開始され、今後は人工知能であるAI技術がさらに進めば、時間指定による再配達分も含めた最短配送ルートを瞬時に割り出すこともできるようになるでしょう。 その上で、受け取る側が荷物の届く配達時間をスマホなどで細かく確認できるようにすることで、在宅率を高め再々配達を防ぐことも可能となるはずです。 日本のように緻密な宅配の仕組みを採用している国は他にないので、サービスの質は落としたくないけれど、今のままではドライバーがパンクしてしまうことも認識しておくことが必要といえます。