運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業界で約款が改正されたことで待機料は別途収受が可能に

2019.11.20
分類:その他
運送業界の「標準貨物自動車運送約款」は2017年11月4日付で改正されており、従来までの車両留置は、「積込料または取卸料」、そして「待機時間料」に細分化されています。 車両留置料とは、車が発地や着地に到着してから、貨物の積み込みや取り卸しなどで留置された時間に応じ、トラック運送事業者が受け取ることのできる料金です。 待機時間料は、車が発地や着地に到着してから、積み込みや取り卸し、付帯業務を行う場合に待機した時間に応じ、トラック運送事業者が受け取る料金を指しています。 これまでの車両留置料からも、実際にかかった料金をトラック運送事業者が規定することはできたのですが、実際には運賃に含まれていることが多く、立場上も別途定めることは困難だったといえます。 そこで、積込料、取卸料、待機時間料を分けて設定することにより、運賃と別途かかった料金を明確化させることで、料金収受の環境を整備しようという目的です。

トラックドライバーの負担もこれで軽減?

トラックドライバーはこれまで様々な追加業務が課せられ、結果として必要以上に拘束される時間が長くなっていたのです。その業務を行う上での負担も過剰なものになっていたといえます。 標準貨物自動車運送約款が改正されたことにより、引渡期間や引渡拒絶の条件や、荷造りを荷主の責任で行うこと、留置料の収受、運送を中止する場合の中止手数料請求といったことが可能となりました。そして先に述べたように運賃と料金の収受の区分もされ、ドライバーの負担も軽減されることが期待されました。

これまでの慣習を変える交渉や努力も必要

複数項目が設定されることにより、運賃だけを支払うことで不当に作業を追加し強要されることは減少したのかもしれません。 しかし楽観視はできず、運送業界の慣習的な問題でこれまでの方法に慣れ切ってしまっている部分もあることから、やはりトラックドライバーの待遇を改善させるための交渉努力は不可欠といえるでしょう。 本来、適正な価格を設定して対価の支払いを求めることはあたりまえのことなのに、長く見過ごされてきただけにすぎません。 問題を解決してトラックドライバーの待遇を改善できれば、今深刻な問題として取り上げられることの多い人材不足の解消にも繋がりやすくなるはずです。 トラックドライバーは拘束時間が長めで心身に負担がかかりやすいため、ドライバーの安全を守るためにも労働環境を適正なものへと整備する努力が必要と理解しておきましょう。