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ドライバーが事故を起こしたら運送会社も責任を負うことになる?

2021.03.10
分類:その他
公道を走っているときに、どれほど事故が起きないように注意していたとしても、交通事故を起こさないとは限りません。 トラックドライバーが交通事故で他人にケガを負わせたときなど、使用者である運送会社は責任を負わなければならないのか気になるところでしょう。 そこで、運送会社のトラックドライバーが交通事故を起こしてしまったとき、損害賠償や使用者責任はどのような扱いとなるのかご説明します。

ドライバーだけでなく運送会社も使用者責任を負う

運送会社で従業員として働くトラックドライバーが、自らの過失により交通事故を起こした場合には、会社が責任を負うことはないだろうと考えてしまうものでしょう。 しかし実際には、従業員が業務中に起こした事故は、運送会社もその責任を問われます。 運送会社はドライバーを使用し働いてもらうことで利益を得ているため、業務中の行為で他人に損害を与えたときには、その従業員を雇用している運送会社も責任を負うべきだからです。 当然、運送会社のみが責任を負うのではなく交通事故を起こしたドライバーも責任を負うことになるため、裁判になった場合には運送会社とドライバー共同で訴えられることもあると留意しておきましょう。

運送会社が責任を負う必要がないケースとは

すべてのドライバーの交通事故において運送会社が責任を負うわけではなく、業務中の事故でも運送会社が責任を負わなくてもよいケースもあります。 運送会社が使用者責任を負うことになるのは、民法715条の「使用者が被用者の選任およびその事業の監督について相当の注意をしたとき、または相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。」という規定に該当しないケースです。 民法715条の規定に該当するのであれば使用者は責任を負うことはありませんが、ほとんどのケースではドライバーの事故で運送会社も責任を負うことになると留意しておくべきといえます。

ドライバーに対する損害賠償請求は可能

ドライバーが事故を起こしたのに、運送会社まで責任を負うこととなるのは納得できないと感じる経営者もいることでしょう。 ただ、運送会社が事故の被害者に賠償した場合、その賠償分をドライバーに対し請求することは可能です。 ただし賠償した金額すべてをドライバーに求めることはできず、求償できる範囲としては事業の性格や規模・業務内容・勤務態度・加害行為の態様や予防・損失の分散に対する使用者の配慮など、様々な事情から判断されます。 一定割合が認められることはあるものの、相当程度制限されてしまいますし、求償の権利はあってもドライバーから回収できないケースもあるようです。 もし交通事故で被害者が亡くなってしまったときには、賠償する金額が億単位にのぼることもあるため、保険に加入するなどリスクヘッジしておくことが大切といえます。