運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送ドライバーに無理を強いれば荷主がコンプライアンス違反に問われる?

2021.05.17
分類:その他
「貨物自動車運送事業法」の一部改正では、荷主に対する事項も追記されています。 運送業者だけでなく、荷主もコンプライアンス違反を追及されることになる点に注意が必要となりました。 そこで、具体的にどのような改正があったのか、その内容を解説していきます。

ドライバーの連続運転時間違反は荷主の責任?

運送ドライバーの労働時間は、1日原則13時間以内で最大16時間(月間293時間以内)という規定があります。さらに連続して運転する場合には、4時間毎に30分休憩取らなければなりません。 ドライバー1人が600km以上の距離を運行することは困難ですが、運行時間に余裕があれば休憩を取りながらドライバー1人で運行することもできるでしょう。 しかし、時間的な余裕があるからといってコンプライアンス違反が発生しないとも言い切れません。 何時までに届けなければならないといった急な受注があり、荷主から間に合わないなら料金を支払わないといった高圧的で強い要求があれば、ドライバーも無理に運行しようとするでしょう。 すると、連続運転時間に違反することとなりますが、この場合には荷主がその責任を問われることとなります。

今後荷主に求められること

サービス提供における約束が、物流業務の負担を重くしているケースが少なくありません。そもそも荷主から出される配送条件が、少しでも柔軟なものであれば運送コスト削減につながることもあります。 これまでのような物流サービスは過剰なサービスも含まれていることが多いですが、物流業務の負担を軽減することこそ、荷主側の取引先の選択肢を増やすことやコスト削減にもつながることを理解してもらうことが必要となるでしょう。 必要最低限な物流サービスについて、物流体制そのものの見直しが必要だといえます。サプライチェーン全体を通し、製販物一体の目線で情報の整理が必要です。 販売を中心に考えた物流サービスが多いといえ、さらに長期間に渡り見直しが行われず継続されている物流サービスは過剰な内容となっていることがほとんどでしょう。 法律の改正だけでなく、運送業者が悩むドライバー不足などの問題も踏まえれば、物流企業に対し無理を強いる荷主は今後モノを運べなくなると留意しておくべきです。 まずは製販物一体とした物流戦略を構築し、どのような物流サービスを最低限必要とするのか見直してもらうことが必要な時期にきたといえます。