運送業のマスク着用は必須?熱中症リスクにも警戒が必要
国土交通省は2020年11月4日、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点より、タクシーを利用しようとする顧客のうち、マスクを着用しない場合は乗車を拒否することを認める運送約款変更を認可しました。
これは東京都内の法人タクシー9事業者・個人1事業者の計10事業者が申請をしたもので、ドライバーだけではなく利用者も守るためとされています。
このようにタクシー利用者に対するマスク着用の動きは、今後全国のタクシー業界やバスなど様々な運送関係や業界でも起きる可能性があるといえるでしょう。
業務中はマスクを徹底する運送業者
タクシーのように、車内で密室になる環境では、ドライバーと利用者のどちらもマスクを着用しておくことがより重要と考えられます。
集荷や配達などがメインとなる運送業界でも、同様に就業中のマスク着用は不可欠といえますが、熱中症などにも注意した上での対策が必要といえます。
大手の運送業者でも、新型コロナウイルスやインフルエンザなど、感染症予防対策として集荷・配達・接客の際など就業中は従業員のマスク着用を徹底して行っているようです。
ただ、夏期にかけ気温や湿度が上昇する中、マスクを着用したままの業務で熱中症リスクも高くなってしまいます。
そのため、トラックを運転しているときや屋外での作業で付近に人がいないときには、状況によりマスクを外した状態での業務を行うこともあるとしているようです。
注意したいのは熱中症
夏期は猛暑による熱中症などのリスクが高くなることが気になるところでしょうが、厚生労働省による2020年の職場での熱中症は、運送業では前年比24・5%増となっていました。
暑さ対策や対応に慣れていない入職したばかりの時期や、休職後の熱中症発症なども挙げられており、屋内作業で発症するというケースも多かったようです。
業種別で見ると、建設業・製造業に次いで運送業が多く、運送業では熱中症による死亡者はいなかったものの、車両運転中に熱中症を発症し交通事故を起こしてしまったケースもあります。
熱中症が二次災害となった例もあるため、十分な対応が必要となるでしょう。
猛暑に突入したときにはそれぞれが工夫を
2020年までの過去10年間の熱中症発生状況は、年平均で死傷者625人、死亡者21人です。
特に2018年から2020年は記録的な猛暑とされており、死傷者数は過去10年間の47・4%を占めている状況です。
運送業でも新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、不織布マスクを着用することが求められているでしょうが、周りに人がいないときには外すといった工夫も必要になると考えられます。