運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

トラック運送業界が遵守しなければならない下請法

2021.08.15
分類:その他
トラック運送業界は、荷主・元請からの複数の下請事業者へと請け負いで仕事が発注される重層下請構造となっており、適正な取引を行うためのルールとして法律に従う必要があります。 しかし実際にはトラック運送業界の取引慣行は不適正な取引が顕在化していたこともあり、適正な取引ルールを荷主・元請・下請が遵守するための知識共有が欠かせません。 規制緩和に伴い競争激化する中、独占禁止法及び下請代金支払遅延等防止法(下請法)の法適用対象外取引でも、法令と同等のルールが遵守されるよう積極的に取り組むことが必要といえます。

健全経営のためにはコンプライアンス遵守が必須

トラック運送業が事業を健全に運営していくために、そして安全・環境対策を強化させていくには、燃料価格を含めたコスト増を荷主・元請・下請が適切に分担していくことが必要といえます。 そして適正取引を進めるにあたり、契約内容を書面で明確化させ、手待ち時間解消など着荷主を含め協力してもらうことが必要となり、そのためのルールも不可欠といえます。 正直者が損をしない健全な競争環境の整備が欠かせませんが、輸送の安全に加えて社会保険加入など貨物自動車運送事業法以外の法令のコンプライアンスを徹底するようにしましょう。

下請法違反となる可能性のある行為とは?

親事業者が決める下請額が通常支払われる対価より著しく低ければ「買いたたき」に該当し下請法違反になる可能性があります。 また、親事業者が運送を委託するとき、着時間指定や倉庫荷役など附帯業務も求めるのなら、発注書面にその旨を記載し対価を含む下請額を下請と協議の上決めなければなりません。 さらに燃料費が高騰したのにもかかわらず、十分に協議もせず単価を据え置くと下請法上問題になることもあります。

運賃を減額する行為も下請法違反となる可能性あり

親事業者が事前に決めた代金の額を、下請の責任とされる理由がないにもかかわらず減額すれば下請法違反となります。 下請と合意があった場合でも、下請法第4条に規定されている「下請代金の代金減額」に該当する行為です。 事前に支払手段を手形と決めていたとき、一時的に現金で支払うときにおいて、手形払の下請代金から金利相当額を超える額を差し引くことも下請法に違反すると考えられます。 親事業者が請け負った運送を下請事業者に再度委託し、運送中の荷物が毀損した損失の補てんとして、損害額の根拠を明確にせず下請代金から毀損額を上回る一定金額を差し引く行為も同様です。