運送事故に備え加入した保険の保険料部分は消費税の課税対象?

運送業者が万一の運送事故に備え、保険に加入し保険料を支払ったとします。荷主に対する請求は、運賃と保険料を別建てにしている場合、保険料は非課税であるため運賃のみを課税対象として請求すればよいと考えがちです。
そこで、運送関連の費用において消費税の課税対象とするべきか、それとも非課税となるのかご説明します。
運送事故に備えて加入した保険の保険料の扱い
運送業者が運送事故リスクに備えて保険に加入した場合、保険料は保険契約者である運送業者が支払った後、保険料相当額を荷主に請求します。
そのため保険料相当額も荷主が負担する運賃の一部であり、請求金額全額を運賃と考えるべきといえます。
なお、荷主が付保する保険料相当分を運送業者が立て替えて支払うケースでは、立て替えのため当然、消費税の課税関係は発生しません。
消費税の課税対象かそれとも非課税か迷いやすい費用
消費税が課税されるのか、それとも非課税なのか迷いやすい費用はいろいろありますが、運送関連の費用は次のとおり処理するようにしてください。
荷造費
原則、消費税の課税対象です。
保管倉庫料・運送料
原則、課税対象になるものの、費用に含まれる保険料部分は次のような扱いです。
①保険契約名義人が費用を支払う法人のとき
運送業者が運送料としてまとめて請求するときには消費税は課税されますが、運送業者が保険料として別途請求するときには非課税として扱います。
②保険契約名義人が運送業者のとき
運送業者が保険契約者となるときの保険料は、原則、課税対象となります。ただし、運送業者が荷送人から保険を付保してほしいと委任を受けたため保険契約名義人となっており、保険の効果は荷送人に帰属し、保険料は運送業者が立て替えまたは仮払いという場合には保険料相当額を課税標準に算入しません。
外国貨物
外国貨物の場合、免税取引となるため課税仕入れには含まれません。主に次のようなケースが課税仕入れに該当しない取引となります。
①外国貨物の荷役・運送・保管・検数・鑑定・検量・通関手続・青果物のくんじょう、指定保税地域や保税蔵置場などで輸出しようとする貨物並びに輸入許可を受けた貨物に関係する役務の提供
②保税地域同士での外国貨物の運送
③ 国際輸送
なお、国際輸送の中に国内輸送が含まれるときでも、国際輸送の一環とする業務であることが契約で明確になっているときには、すべて国際輸送として扱うことになります。